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失敗するチャンス (2/2) ≪社会≫ 埼玉 主婦 トホホ 2013.4.22

「あら、お帰りなさい。
 今ね、忘れ物がないかランドセルを
 チェックしてるとこ」

「なんで志保がしてるの?」

「だって忘れ物したら困るでしょ。そういうのはフォローしてあげないと」

しょせん、小学一年生だし...

私は手を動かしながら、そう答えました。

すると、横にいた夫がひと言

「悪いけど、そういうことはもうやめて」と低い声。

エッ?と思い、夫を見ると夫の目は明らかに怒っていました。

「なに怒ってるの?」

「よけいなことしてるから。優羽(ゆうや)がダメになる」

夫の言っている意味が全く分かりませんでした。

「なんでダメになるの?、
 だってほら、明日の準備だって教科書2つも忘れてるのよ!」

私は手にしていた「生活」と「音楽」の教科書を夫に見せました。

「だからなに? 忘れて困ればいいじゃない。
 失敗して、そこから学べばいいんだよ」

夫の言わんとしていることがなんとなく分かりました。

「分かったわよ、じゃあ明日からもうチェックしないわよ」

だから、もう怒らないでよ。
私だって毎日ガンバってるんだから!

たかがランドセルチェックで夫に怒られ、
私は悲しくなってしまいました。

「ダメ、明日からじゃなくて今日から。
 自分のダイエットと一緒にしない!(←よけいな一言!)
 その教科書はぜったいランドセルに入れないでね」

えー、それって鬼じゃない!!

「言ったでしょ、人は失敗から学ぶんだよ。
 親が子供の失敗するチャンスを摘んじゃダメなんだよ」

そういうと夫は2階にあがっていきました。

分かるけど...分かるけど...

私は「もぉ〜っ」と思いながらも夫の言うことに従い、
そのままランドセルの蓋をしました。

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