一本のネクタイ
一本のネクタイ | ≪ほのぼの≫ | 東京都 | 会社員 | フォルト | 2009.06.25 |
一番下の妹が高校入試に
合格した時のこと。
すでに社会人として働いていた私に向かって、父が
「妹の入学祝いに何か買ってやれ」
と言ってきました。
当時の私はまだ若く、
「俺が一生懸命働いて稼いだ金なのに、
何で妹の為に使わなきゃならないんだよ」
と言って断ったことがありました。
3年が経ち、その妹が短大に入学した時も、
俺は妹に何もしてあげませんでした。
先週、勤め先の人事異動の内示(7月異動)があり、俺は係長に昇進。
そのことを家族に報告した日の週末、妹が
「はい、これ」
と言って一本のネクタイをプレゼントしてくれました。
「係長昇進のお祝いに麻実からのプレゼント。
お兄ちゃんブルー似合うからその色にしたの。ブランドものじゃなくてごめんね」
突然のプレゼントに驚きました。
「小遣いで買ったんか?」
と聞くと、
「もう小遣いなんてもらってないよ。バイトで貯めたお金」
とニッコリ。
その笑顔を見て、胸がギューっと苦しくなりました。
妹が大学を卒業するときは、
兄としてきちんとお祝いしてあげようと思いました。
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