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三世帯住宅 ちょっと涙 栃木県 主婦 Sakamoto 2008.06.11

長男夫婦に待望の子どもが生まれました。

名前は克哉(かつや)。

産後、嫁が退院してからは毎日のように電車に乗り、育児と家事のお手伝いをしに隣町まで足を運んでいます。

帰りは長男が車で送ってくれるのですが、先日その車の中で

「毎日のように行き来するくらいなら、三世帯住宅にして一緒に暮らそうか」

と言われました。

気持ちは嬉しいものの、お嫁さんからすれば、
やはり姑と一緒に暮らすのはいろいろと気苦労があるもの。

私は、

「ちょうどいい距離というのがあるものよ。
 でも、気持ちだけはありがたくいただいておくわ」と応えました。

すると長男は、

「美和(長男の妻)なら大丈夫だよ。
 もう実のお袋さんは亡くなっちゃってるから、頼りになるのはお袋だけだし。
 台所と風呂さえ別々にすれば、お互いに気ぃ使わなくても済むでしょ」

というセリフが返ってきました。

ものの弾みで口から出たのではなく、
少しは真面目に考えてくれているような口ぶり。

しかし、私は、

「まずは美和さんと話をするのが筋でしょ。
 話をして、美和さんがそれでいいと言うなら、また改めて聞かせてちょうだい。
 それまでは、今日の話は聞かなかったことにするわね」

と伝えました。

そしてその日の夜。

一本の電話が鳴りました。

出ると、先ほど送ってくれた息子からでした。

「さっきの話だけど、今美和と話をしてね、
 “台所とかを別々にすれば気を使わなくて済むでしょ”って言ったら、反対されたよ」

「ほら、ごらんなさい。だから先に美和さんと話しなさいって言ったでしょ。
あんたのせいで明日からそっちに行きづらくなっちゃったじゃないの!」

と息子を叱ると、

「いや、違うんだよ」

と言って、息子は話を続けました。

「美和はね、
 『"一緒に暮らす"ってことは、"同じごはんを食べる"ってことよ』って言うんだよ。
 『台所を別々にするような三世帯暮らしは反対』だって。
 『私は最初から、いつかは一緒に暮らすつもりで嫁いだのよ』って叱られちゃった。」

私は美和さんの温かい言葉に目頭が熱くなってしまいました。

「あんたは、本当にいい嫁さんを貰ったねぇ」

と久々に息子を誉めてあげました。

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